遺産分割協議書は、法定相続人の全員が連名方式で署名押印するのが一般的ですが、各自署名方式にした方がスムーズに行くことがあります。そのようなときは、「遺産分割協議証明書」を作成して、各自に署名捺印をしていただくことが可能です。
主人の相続手続きをしたいのですが、私らには子供がいなくて主人の兄弟姉妹や場合によっては甥っ子や姪っ子も法定相続人になるよって聞いたんですが。
そうですね。実際には、何人くらい法定相続人はいらっしゃるのですか?
そうねえ、20人くらいになってしまうかしら。
それは中々大変ですね。遺言書は遺していなかったのですか?
主人は頑固で『俺は死なんから大丈夫じゃ!』なんていって、何にも準備してなかったんですよ。
お子さんがいない場合は特に、自分亡き後のパートナーの生活や精神的なストレスから身をを守るためにも遺言書は遺しておいてほしかったですね。
そうね。でも、幸いにも主人は兄弟みんな仲良しで、ずっと行き来もしていて、甥っ子姪っ子たちもみんな家に遊びに来たりしてくれていて、協力するよ!っていってくれているから大丈夫だと思うわ。
それならよかったですね。最近は親族で集まることも少なくなってきていて、いざ相続ってなるとお金が絡んでくるので、悲しいことに目の色が変わってしまう方もいるのですよ。お互いの生前のお付き合いやご先祖さまを想う気持ちがいかに大切かを身に染みて思います。ご先祖さまは親族間の争いなんて望んでいないでしょうからね。
主人は頑固者だったけど、自分のことよりも人の幸せを願う優しい人だったからね(涙)
そうなんですね(もらい泣き)、それならきっと手続きもスムーズに行きそうですね。
私も老い先短いので、みんなに負担をかけないように時間がなるべくかからない方法でお願いしたいわ。
分かりました!それでしたら、遺産分割協議書を順番に回していくより、皆さんに了解を得た上で一括でそれぞれのところに書類を送って署名捺印をしていただく遺産分割協議証明書で手続きを進めましょう。
よろしくお願いします
遺産分割協議証明書の記載内容
遺産分割協議証明書の内容については、必ずこうしなければならないということはありませんが、必要な内容が記載されている必要がありますので、一例として挙げていきます。
表題
表題は、「遺産分割協議証明書」と記載します。
被相続人の表示
亡くなった方を被相続人といいます。誰についての相続かを明確にするため、被相続人の表示について「氏名、生年月日、死亡年月日、本籍、最後の住所」を記載します。
法定相続人の表示
法定相続人全員について、「氏名、生年月日、住所」等を記載します。
協議内容の表示
一例として、『被相続人〇〇の死亡により開始した相続につき、上記共同相続人の全員が、〇年〇月〇日、遺産の分割の協議をした結果、後記のとおり遺産分割の協議が成立したことを証明します。』 また、戸籍で出生まで遡れなかったときのことを考慮して、念のため、『上記の共同相続人の他に〇〇の相続人はいません。』のように記載します。
具体的な協議内容の記載
『(1)被相続人の有した遺産については、相続人〇〇が相続する。』のように記載して具体的な協議内容を記載します。