Q&A

精神障がい者の兄弟で、ゴキブリ屋敷を片付けた話

近所の方からのご依頼で、近くに精神障がい者がいて、ごみ屋敷になっているみたいで困っているという連絡がありました。精神障がい者のAさんのお姉さんはその連絡をくれた方とお話はしていたようでしたので、お姉さんに連絡をしてみると、役所の方でも精神障がい者として把握はしているが、どうにもできずに困っているとのことでした。

そこで、時々Aさんが近所の内科で受診をして薬を取りに来るような話もありましたので、その先生に診断書をお願いしました。

AさんにはBさんという弟がいて、松沢病院に入院中とのことでした。

そこで、後見人就任後、Aさんもいったん松沢病院で保護してもらおうという話になり、病院とも日程を決めているかどうか分からない自宅に突撃訪問をしてドアを開けた瞬間に連れ出し、介護タクシー(暴れるといけないので、ボディガードつき)に乗り込んで、松沢病院に連れていきました。

所持金はもちろんほとんどなく、不動産を売却してその資金を兄弟で2分割して生活費に充てるような形をとりました。Aさんの部屋をみると、床から壁から天井からすべてゴキブリの住処になっていました。よくこんなところで寝泊まりできたなと思うくらいです。後見人は、事実行為はする必要がなく、誰かに処理をお願いすればよいのですが、今回に関しては、私もゴキブリホイホイ片手に生ものの処分等をお手伝いしました。

現在、AさんBさんは、施設に入所され、施設内をウォーキングしたりして健康に暮らしています。現在の心配は、健康すぎるため、長生きリスクです。

毎日銀行でお金を出し入れする人の話

被後見人さんで、毎日のようにキャッシュカードでお金を出し入れするのが趣味のようになっている方がいました。後見人が付くと、生活費以外のすべての財産は後見人が管理することになりますが、コンビニとかでも出し入れするため、毎日手数料が引かれていくような状況でした。また、時々病院の先生とかに差入をもっていったりするみたいで、ある程度の金額が引き出されていることもありました。

そこで、新たに通帳を開設し、そちらの口座に大きなお金を置いておき、本人管理口座には少額のみおいておくような形にしました。そして、通帳には約5,000円~10,000円程度入っているような感じにしました。本人管理口座の代理人カードを作成する際に、銀行からそれは本当によいのか?と問われましたが、家裁の方にも本人の精神的な安定のためにも事前にこのような処理をしますということを連絡済みであるとお伝えして、カードを発行してもらいました。

熱中症で自宅で倒れてしまった人の話

お金の執着がなくなると表情が穏やかになるお話

人生には生きがいが最も必要であると感じた話

有料老人ホームからの相談で、親族が任意後見人になっているのだが、書類を送っても帰ってこないし、振り込むべきものも振り込まれず、給付金の請求もできていないようで困っているという内容でした。

入所している本人の前で、一緒にその任意後見人に連絡をしたのですが、俺が任意後見人なんだから、余計な口出しをするな!と強い口調で怒られました。

しかし、その任意後見人さんは認知症が少し入ってきているようであるという情報もあり、どうしたものかと思っていました。私は、その任意後見人さんは、任意後見人をしていることが人のためになっていると考えており、生きがいになっているように感じたので、落ち着くまで様子をみましょうという提案をしました。

しばらくして、また施設から連絡があり、やはり色々書類上のこともあって困るし、本人も任意後見人の交代を望んでいるという話でしたので、書類を揃えて、任意後見人の解除の内容証明郵便を出しました。

すると、任意後見人さんは、俺は首になった…と周囲に漏らしていたようで、その数日後にお亡くなりになってしまいました。私も、内容証明郵便を送った手前、何とも言えない気持ちになりましたが、やはり人は生きがいが大切なのだなとおもった出来事でした。

金庫から〇〇万円出てきた話

所持金残り1,000円で不動産を売ったおばあちゃんの話

おじいちゃんを尻に敷くおばあちゃんとの夫婦の話

認知症は治した方がよいのか?

人それぞれ、色々な考え方があると思いますが、被後見人さんの中には、本当に悲しい人生を歩んできたような方もいらっしゃいます。

例えば、自分の長女といざこざがあって、疎遠になってしまい、二女は精神障がい者で一人遺されてしまっているケースがありました。いつも面会するとありがとうと優しくいってくれるおじいちゃんでしたが、このような優し気なおじいちゃんがなぜいざこざになっているのか疑問でした。

お金はたくさん持っているのですが、見かねた妹さんが色々世話をしてくれていて、疎遠になった長女にも遺言で財産が行くようにしていました。
しかし、私が時々家族のことをお伺いすると、「俺に娘なんていたかなあ…」と、子どものことさえ忘れてしまっているような状況でした。

ご本人が亡くなり、長女のところへ手紙を出しましたが返事はなく、弁護士から遺産は不要であるからもう連絡してくれるなという意向である旨の連絡が入りました。私は、とりあえず、遺産目録を提出するから、それから要不要の判断をしてほしいとお伝えしました。

遺産額と遺言書を提示したところ、やっぱり遺産はもらっておくという返答がきました。いざこざがあっても、親の遺産を子が有効活用してもらえてよかったかなと思っています。



また、若かりし頃に夫と息子を続けざまに亡くしてしまい、それから一人でやりくりして生きてきた方がいました。

一人でコツコツお金をためて、誰にも迷惑がかからないように生きてきたようです。ただ、少し強い性格だったせいか、周囲の親族からは少し煙たがられていたようです。

自宅不動産には、思い出の品がたくさん残っており、この不動産を承継した人は、処分に困るだろうと考え、遺言書で不動産の承継者になっている方に確認したところ、売ってもらって構わないという話でしたので、私の手で売ることにしました。そこのマンションの管理人は、最初から私を詐欺師呼ばわりしていたので、あまり関わりたくなかったこともあります。

その人には、不動産を売ることを伝えて了承をいただいていたのですが、処分した後に、何故売ったんだと急に態度が変わってしまい、面会に行くたびにその話になると怒られました。しかし、次にお会いしたときにはすっかり忘れてしまっています。

認知症は、忘れる病気です。過去の辛かった思い出も忘れることによって少し癒されて、穏やかな気持ちで最期を迎えることができるのかなと思います。病気でかわいそうということもありはしますが、忘れるという神様からのギフトなのかもしれないなと少し思う部分はあります。

認知症は治るのか?

この仕事をしていると、認知症の特効薬のようなものはないのかなと思ってしまいます。
色々調べていますと、もしかしたらミトコンドリアが細胞を活性化することにより、免疫力が上がり、がん細胞や認知症の原因となるような病気にも効果があるのではないかという書籍も出ています。

現在は、フォトンやプラズマなどを照射することによりミトコンドリアを活性化させる器械も発明されているようですので、機会があったら試してみたいですね。※ちなみに、私が設立にかかわった会社もそのような機器を発明されているところもありますので、興味がある方がいればお伝えします。

ミトコンドリアの活性化は、健康維持や美容にも効果があるようです。

私が考える後見人の意義

後見人の意義としては、一義的には本人の財産管理等を通じて本人が一生生活していけるように手配をするものであると考えられますが、それとともに、家族を再度結びつける役割も大きいのではないかと感じています。

他の親族の方の相続関係が、相続人が多数で何年も滞っていたところに司法書士が一部の相続人の成年後見人に就いたことにより、何年も滞っていた相続が一気に解決したということもあります。

親族同士、昔のあれこれでけん制しあっていて、あきらめかけていたところに、第三者の専門職が偶然入ってきて費用もそれほどかからずに解決してしまうのですから、運がよいと思います。

何気ない一言が親族との縁を壊した話





司法書士が後見人に就くとどのくらいのお金がかかるのか?

・成年後見人等の報酬の目安
 基本報酬は、月額2万円
 管理財産1,000万円~5,000万円のときは、月額3~4万円
 管理財産5,000万円以上のときは、月額5~6万円
・成年後見監督人の報酬の目安
 管理財産額5,000万円以下のときは、月額1~2万円
 管理財産額5,000万円を超えるときは、月額2.5~3万円
 といわれています。(平成25年11月発表)
 そのほか、不動産の売却などがあった場合には、付加報酬が認められます。

後見に関する最近の傾向

成年後見人が就くと、一生成年後見人の報酬が発生することの負担が問題視されていました。
そこで、現在、成年後見人の一時利用を可能にする法改正の方向に動いています。

一方で、本人の財産額が少ないため、その案件については報酬を求めない専門職も25%程度いるとのことで、そのバランスが難しいところです。

司法書士団体においては、資産がある被後見人と、資産が少ない被後見人を同時に選任させることで、その報酬のバランスを取るとともに、案件の消化を図るようにしていました。

それとは別に、不動産の売却などを目的に成年後見人を選任する場合、最初から親族と専門職で共同後見人の形をとり、不動産の売却や施設入所などの手配が終わったら、余剰資金は成年後見支援信託で信託をして、専門職は辞任をするという流れがやや一般的になりつつあるように感じています。
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