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信託契約書は公正証書で作成しなくても契約は成立するか?
家族信託は、家族内で信託契約を行ない、その契約内容に基づいて受託者が委託者の財産の管理・処分を行ないます。
家族信託を行なう際には、まず信託契約書を作成することになります。
この信託契約書は、契約内容を書面にまとめて契約当事者が署名押印した私文書でもよいのでしょうか?
結論から申し上げますと、公正証書にしなくても契約は成立するということになります。
しかし、信託契約の目的を達成するために、実務上、公正証書で作成しなければならない場合があるため、注意が必要です。
また、公正証書で作成すれば、後日のトラブルを回避する効果があるというメリットもあります。
信託契約書を公正証書で作成しなければならない場合は?
下記の場合には、実務上、信託契約書を公正証書で作成しなければ信託の目的を達成することができないことになりますので、注意が必要です。 ⑴銀行で信託口口座を開設する場合 ⑵証券会社で信託口口座を開設する場合 ⑶銀行で信託内融資を受ける場合 すなわち、金融機関が関わってくる場合には、公正証書の作成が必須ということになります。
私文書でもよいかどうかはどう判断する?
信託契約書は、私文書でも効力を生じますが、私文書で作成してもよいと考えられる場合はどのようなときでしょうか? ポイントは、後々、契約内容について争いとなる可能性があるかどうかです。
⑴ 家族の関係性
家族の関係性があまりよくなかったり、一定の相続人にのみ相続させたいという事情がある場合に、家族信託を利用して相続対策をする場合があります。 相続が発生した場合に、争いになる可能性がある場合には、なるべく私文書で契約を締結することは避けた方が無難です。
⑵ 委託者の判断能力
委託者の判断能力が疑わしいという場合には、公正証書による作成を依頼して、公証人の判断を仰いだ方が無難です。 後々判断能力がなかったといわれても、公証人において委託者に契約締結についての判断能力があるとして契約を締結している事実は強いです。