取締役等の役員が亡くなったときは、役員の変更登記をしなければなりません。 そして、役員変更登記をするには、一定の書類を準備して、期限内に所定の場所で登記の申請手続きを行う必要があります。 以下、役員変更登記の必要書類や注意事項を見ていきましょう。
死亡による役員変更登記の必要書類は?
相続案件が多くなる中、法人の役員の死亡による変更の登記手続きの依頼も多くなってきているように思います。
死亡による役員の変更登記には、どのような書類が必要になるのですか?
死亡を証する書面が必要になるのですが、具体的には、
⑴ 死亡した旨の記載のある戸籍(除籍)謄本
⑵ 死亡した旨の記載のある住民票除票
⑶ 死亡診断書
⑷ 死体検案書
⑸ 親族が作成した死亡届
辺りが必要になります。
基本的には、戸籍や住民票除票などの公的書類で確認させていただくようにしています。
あとは、我々が代行して登記を申請する場合には委任状が必要になります。
死亡届はどうやって書くの?
親族が作成した死亡届でも登記申請の受理はしてもらえるのですね。
どのように記載すればよいのですか?
戸籍や住民票除票などの公的書類の原本がない場合には、公的書類の写しの提供を受けて死亡届を親族の方に記載してもらうような方法も可能です。
内容としては、⑴死亡の事実、⑵死亡者の氏名、⑶届人と死亡者との関係が分かるような形の書面にすればよいと思います。下に記載例を挙げておきますね。
株式会社法務事務所御中 死亡届
貴社の取締役である私の父法務一郎が、令和5年2月23日死亡しましたので、お届けいたします。 令和5年2月25日 住所 東京都~ 氏名 法務太郎 印
登録免許税はいくらかかるの?
登録免許税はいくらくらいかかるのですか?
登記申請1件につき1万円の登録免許税がかかります。
資本金が1億円を超える会社の場合は3万円の登録免許税がかかります。
登記すべき事項の記載例は?
登記すべき事項の記載例はどのように記載すればよいのですか?
下記のような感じですね。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」法務一郎
「原因年月日」令和〇年〇月〇日死亡
いつまでに登記をする必要があるの?
登記するのに期間は決まっているのですか?
商業登記に関しては、基本的に事実が生じてから2週間以内に登記をする必要があるとされています。書類集めなどで、中々この2週間という期間を遵守することは難しいですので、事前準備などが必要ですね。
法律上は過料の対象とされていますが、どの程度の期間が過ぎると実際に過料の対象となっているのかは、よく分かりません。1回役員変更の期間を飛ばしてしまうと過料の対象がきているようなことはよく聞きますね。
いずれにしても、法律を遵守できるよう、なるべく早めに登記申請を行うことがよいかと思います。
その他に注意しておくこと
その他に注意しておくことはありますか?
そうですね。取締役が亡くなったことにより定款で定めている取締役の員数を割ってしまうようなケースでは、新たな取締役を選任するか、取締役の員数を減らす定款変更を行う必要があるので注意が必要です。
取締役会設置会社では3名以上の取締役が必要なので、2名になってしまった場合には1名を新たに選任するか、取締役会を廃止する定款変更を行う必要が出てきます。
上記のような場合には、どのような対処をするのかによって他にも必要な書類が色々出てきますので、単純に死亡による変更の登記のみで済むかどうかは個々の会社ごとに検討する必要がありますね。