外国人が不動産を取得する場合の登記手続き

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外国人が不動産を取得する場合の登記手続きについて

事務員さん

今回は、不動産の買主さんが台湾の方のようですが、注意点はありますか?

さくらい

令和6年4月1日から法改正が施行されて、今までよりも必要書類が多くなるので、注意が必要ですね。

事務員さん

最近の円安の影響もあって、海外の人の日本の不動産の購入割合が増えてきていますよね。

さくらい

そうですね。日本は世界的にみれば治安もよいので、割安感があれば日本に不動産を持ちたいというのはよくわかりますね。私は日本語しか分からないので、海外の方が日本で不動産を買う際には、是非日本語を勉強していただきたいという希望はあります。日本語をしゃべっていると優しい気持ちになるっていう研究もあるらしいですから。

事務員さん

登記手続き的には、どのように変更されることになったのですか?

さくらい

日本に住所がない外国人の方については、国内連絡先を登記することが追加されました。親族がいる場合には、その親族にお願いして国内連絡先承諾書国内連絡先情報を印鑑証明書などの根拠資料とともに提供する必要があります。

事務員さん

投資家の方とか、親族がいない場合などもあるかと思いますけど、その場合はどうするのですか?

さくらい

その場合には、法律事務所や会計事務所にお願いして国内連絡先にしてもよいみたいですよ。場所代で一定の報酬をもらいつつ、不動産の購入や管理のコンサル的なことをしている事務所さんもあるみたいですからね。
以前は納税管理人として固定資産税の支払いなどを代行していたものが登記にも反映されるようなイメージでしょうか。

事務員さん

なるほど、そうなんですね。では、国内連絡先は必須なのでしょうか?

さくらい

そういう訳でもないみたいですよ。どうしても国内連絡先がない場合には、国内連絡先がない旨の上申書を提供すれば、登記自体は可能です。

国内連絡先承諾書の記載例

事務員さん

国内連絡先の承諾書は、その方が国内連絡先になってもいいよというものですよね?どんなふうに記載するのですか?

さくらい

下記のような記載例が出ていますので、載せておきますね。

さくらい

今回は、共有で不動産を取得して、国内連絡先は1箇所だったので、1通の承諾書で提供したけど、登記記録には、共有者〇〇の国内連絡先A、共有者△△の国内連絡先Aのように、個別に記載されていました。

事務員さん

ありがとうございます。他には改正点はありますか?

さくらい

ローマ字氏名証明情報を提供することになりましたね。

ローマ字氏名証明情報

事務員さん

今までは、英語の場合もカタカナ表記で、これって本人かどうかって判別できるのかしらって思ってたこともあったので、本人の同一性を担保するという趣旨ですね。
台湾とか中国の方も漢字としては似ていけど、読み方は全く違っていたりしますもんね。

さくらい

そうですね。ローマ字氏名証明情報の具体的な内容は、パスポートの氏名表記・有効期限・写真ページが含まれたページに原本に相違ない旨の記載と署名または記名押印されたものになりますね。
実際には、写真のページに全て含まれていることが多いように思います。
このローマ字の表記も登記に反映されることになりました。

事務員さん

ローマ字の表記も登記記録に反映されることになるのですね。これで本人の同一性はばっちりですね!

さくらい

そうですね。パスポートも外国語で書かれた文書にあたるので、訳文をつけて翻訳者が署名押印する必要があるので、忘れないようにしましょうね。

建物表題登記への影響は?

事務員さん

建物表題登記をする際には、今回の改正の影響を受けるのですか?

さくらい

今回の法改正は、外国人が所有権の登記名義人となる場合に関するものであるため、建物表題登記については、今までどおりの添付書類で大丈夫です。

【参考情報】
・令和6年4月1日以降にする所有権に関する登記の申請について(法務省)
・外国居住の外国人や外国法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報について(法務省)
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